国税庁長官賞

 

 願いをかなえる税

信州大学教育学部附属松本中学校 3年 中島 芙美
 

  私の家の近くに、「中山文庫」という市立図書館があります。小学生の頃は、休みの日に行ったり、放課後立ち寄ったりして、お世話になりました。ある夏休みには、毎日通って休み中だけで二十冊以上の本を読ませていただいたことを覚えています。

  「なぜ、中山図書館ではなく、中山文庫なのか」と、祖父に聞いたことがあります。昔、折井英治さんという農学を研究されていた方が晩年を中山地区ですごされたそうです。折井さんは、農学に関する本をはじめとして、十万冊以上の本や資料を持っていらしたそうです。折井さんは、それらを「このまま個人で持っているのではなく、より多くの人に読んで役立ててもらいたい」と考えて、中山文庫を開設したそうです。まず、バスの中に保管することになったそうです。しかし、せっかくの本も、狭いバスの中に詰め込んでしまっては、本が傷んでしまいますし、上手に探せません。

  本を大切にして、より多くの人に本に親しんでほしいと願った折井さんは松本市に本を寄贈することにされたそうです。折井さんの願いを受けて、きちんとした保管庫と閲覧室のある図書館をつくってほしいと中山地区の皆さんが市にお願いをしました。そうした、折井さんと地区の方々の願いが実って、「中山文庫」ができたそうです。

  「もしも中山文庫がなかったら、私は多くの本に出会えたのか」たぶん出会えることのないままに終わった本が多かったのではないかと思います。その時に出会った本の中には「何度も読みたい」と思って、書店に出向いても、ないものもありました。

  この貴重な本との出合いの場を与えてくれた「中山文庫」はどのようにつくられたのかを祖父に聞きました。祖父は、地区の願いをもとに市議会で話し合い、国や県の援助を得て、つくられることになったと話してくれました。その際に、費用は税金で賄われているという話を聞いて、私は驚きました。市立図書館をはじめ県立文化会館・国立病院をはじめとする多くの公共施設は、税金が財源なのだそうです。

  何か物を買ったときに、消費税がかかります。千円のはずのものが千五十円で、何か五十円分損した気持ちになったことを覚えています。また、父母の給料からも税金を払っています。税金は徴収されるものとしか考えていませんでした。その税が何に役立っているのか考えたこともありませんでした。

  しかし、祖父の話を聞いていて、税金のおかげで、「中山文庫」がつくられ、私は多くの本に出会えたのだと思います。

  このことをきっかけに私は、税はとても大切なものだと思うようになりました。これからももっと「税金はどんなことに使われ、どんな人達の役に立っているのか」勉強し、未来を支える税金をきちんと納税する大人になりたいと思います。

 

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